【建長寺”さわる”模型】行動を!U医師に教わったこと

小児がんの治療で娘が入退院を繰り返していた頃、ようやく回ってきた手術の直前に熱を出しました。また何か月も治療が延びたら、がんが眼球の外に出てしまう・・心は焦りと恐怖でいっぱいでした。

街のベテラン小児科のU先生は、話を聞くや、その場で受話器を取り、国立がんセンターの主治医に電話をかけました。そして、熱はあるが手術に問題はありませんと、きっぱり言い切ってくださいました。

何もしなくても、先生は誰に責められることもありません。が、娘のことだけを考え、リスクと責任を引き受けてくださった、ただただ娘のために行動してくださった・・それは過酷だった日々の唯一のぬくもりとして、生涯忘れることはありません。

神奈川県医師会報への寄稿のお話をいただき、「行動あってこそ」と、U先生の思い出を書かせていただきました。

結果的にはこの手術の甲斐もなく、娘は眼球摘出に至ります。が、たとえ5分でも勇気を出して行動すること、それが目の前の人の心を救い、人生の宝として刻まれることもあるのです。

当時は余裕もなく、特別にお礼を言うこともなく過ごしてしまいました。が、あの年月の数少ないそんな珠玉の経験が、今の自分を支え、動かしているのかもしれません。

 

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