お知らせ

全盲大学生海外初一人旅、コスタリカ環境保護ボランティア紀行 その2

度々私事で恐縮ですが、今春、全盲の娘が海外初一人旅、コスタリカに環境保護ボランティアに行ってきました。その紀行文が『点字ジャーナル』に掲載されています。連載第2回目、よろしければどうぞ読んでやってください。
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★20歳の春、忘れられない3週間 in コスタリカ★

(2)吠え猿の森

コスタリカ北西部、バラ・オンダ国立公園の朝は、厚みのある小鳥のコーラスをバックに木立ちを渡って響き合う、吠え猿の声と共に始まる。毎朝決まって5時半にその声で目を覚まし、部屋の裏手のハンモックでひんやりした夜明けの風に吹かれながら本を読むこと30分、空気がふっと暖かく緩む感触で、私は太陽が昇り切ったことを知る。「中南米では、人間は時間をあまり気にしないのに、動物は時間に正確なのね」と、帰国後私の話を聞いたメキシコ人の友人が笑ったほど、猿たちの体内時計はくるいがなく、ただただ驚くばかりだった。
そんな吠え猿たちを追って森に入り、個体数や生態を調査するのが、「猿プロジェクト」だ。バラ・オンダにはもう1種類尾巻き猿が生息しているが、吠え猿の方が圧倒的に遭遇率が高い。調査に同行させてもらう中で、私は彼らの生活や、そこから見えてくる森の有機性、かつて伐採された森を蘇らせる人々の努力について多くを学んだ。
彼らの存在を最初に知らせてくれるのは、そのよく響く特徴的な声だ。猿というと甲高い声を想像しがちだが、吠え猿は名前のとおり、迫力のある太い声を持っている。ちょうど、大きく口を空け、のどを震わせながら長く息を吸い込むと、似たような声が出る。実際猿を専門にしている公園スタッフは、そうやって猿たちと会話していた。私が森の中で誰よりも早くその声に気付いて、みんなに知らせることができたときは、ちょっぴり誇らしかった。
もともと黒い体をした吠え猿たちだが、群れの中には、脚や尻尾に白い毛の混じるものがいた。皆若い個体で、近親交配を繰り返して血が濃くなりすぎた証拠なのだという。普通猿たちは大人になると生まれた群れを離れてほかの群れへ移って行くのだが、森林伐採と農地拡大の結果、生息地が分断されて群れ同士の交流が難しくなり、同じ群れの中だけで繁殖せざるをえない状況がおきているそうだ。近親交配で産まれた個体は、病弱だったり奇形だったりする場合があるだろう。森林伐採による生態系の破壊については以前から興味があったが、もっと小さなレベル、今生きているいきもの1匹1匹の体に害が出ていることを知りはっとした。
森林伐採とその後の植林の様子は、森のいびつさにも表れていた。森を歩いていると、ある地点を境に空気ががらっと変わるのだ。原因は木々の大きさである。太陽がまともに照りつけてくるひらけた場所では、樹は低く日本の街路樹ほどの太さで、幹は真っ直ぐで凹凸が少ない。一方陽が遮られ、空気がひんやりとみずみずしく濃密な場所では、樹の高さは50mを超え、本当にこれが1本の樹なのかと疑うほど太く堂々としており、巨大な岩のような幹には洞やこぶが無数にある。これが、2、30年前に植林された若い2次林と、200年の時を経てきた原生林の違いである。今でこそコスタリカはエコ先進国と呼ばれたりするが、そうなるまでには、森を蘇らせるための地元の人々による地道な植林作業があり、その努力は今も続いているのだ。
その植林作業の一端に、私も参加した。動物たちが食べ残した木の実の種を集め、植林に適した苗木に成るまで育てるのである。種は厚く落ち葉の積もった森の地面にこれでもかというほどたくさん落ちていて、6人で1回に200個以上ひろえた。種は薄い皮をかぶった小さめの椚どんぐりのようで、手で触るとすぐにみつけられる。とは言え途中から私の役目は、みんなが拾ってくる種をカウントすることに変わっていたが。公園内には、たくさんの苗木の植木鉢が並んだ一角があり、みんなでおしゃべりしながら水やりする一時は、とても楽しく安らいだものだった。
私がコスタリカをさる数日前、私が拾って植えた種から小さなかわいい芽が出た。この芽が数十年後には小さな樹となり、数百年後には辺りを圧する大樹となって、吠え猿やほかの森の動物たちの命を支えるのだろうか。植物、動物、人間が共に繋がり合って続いていく森の命のプロセスに係われたこと、その中に私がコスタリカを訪れた証をこっそりと忍び込ませられたことは、宝物のような大切な思い出だ。(次号へ続く)

 

全国盲学校寄贈用の本がほぼできあがりました!

10月16日、全国68全盲学校に寄贈する絵本の、最後の18冊を仕上げる作業をしました。大雨の中、駆けつけてくださった精鋭お二人、私がアバウトに手を出すと、「オオシタさん、いいです!」とさえぎってくれる頼もしさ。期待にたがわぬ正確かつ集中した仕事ぶりで、時間を延長し、なんと全部完成させてくださいました!

今回は、そのK子さんのレポートでお届けします。

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今回大下さんと視覚障害の事や、たわいもないお喋りをしながら楽しく作業が出来ました。 

「昔は手仕事が多く、今よりも大変だったはずなのに、現代の方が心の病が増えているのは、余計な事を考える時間が増えたから?」なんて話をしながらの細やかな手作業は、先端の感触に心を配る優しさなど、とても大切な事を教えて頂きました。

集中し無心になれ、完成した時には心の栄養を補給した様な爽快感でした。

視覚障害とは無縁だった私ですが、ご縁を頂きお手伝いをさせて頂けることに、感謝の思いでいっぱいです。

 

ユニバーサル絵本製作講座 初日

10月14日、ユニバーサル絵本製作講座の初日、今回は主にSNS経由で横浜方面を中心に4名の方がご出席くださいました。逗子まで来てくださるなんて、有難うございます!

少人数の上、なんとなく絵本でつながっている方ばかり、初めから和気あいあいと楽しい雰囲気で進みました。

が、点字を打つ段になるとムズカシイ・・の声が上がり始め、時間も押してやや消化不良のまま次回持ち越しに・・最後は、点字タイプライターでしおりに名前を打ち(皆、スラスラ~!)今日の記念にしていただきました。

大勢の方にアピールする派手な活動ではありませんが、いらしてくださるのは思いのある方ばかり・・そんなご縁が広がるのは何より嬉しいことです♥いくつもの「楽しかったです!」とのご感想に安堵し、無事終了となりました。

 

逗子図書館が製作講座紹介コーナーを作ってくださいました!

10月14・21日開催の「ユニバーサル絵本製作講座」、逗子図書館にポスター掲示をお願いしていたところ、カウンター脇という破格の場所に、こんな素敵な特設コーナーを作ってくださってありました!ただただ、感謝です!

ポスターも、図書館入口掲示板の一番目立つところに貼ってくださいました!10月6日からは、市協力市教育委員会後援を得て、市内67か所の全掲示板に掲示されます。多くの方のお目に触れますように。

ところで、一緒に飾られていた点字付絵本、今年6月にポプラ社から出版されたばかりだそう。型ぬきだけでなく素材も工夫されていて、カラフルでとても楽しい本でした!特に図鑑は点訳超困難ゆえ、当時筑波大附属盲学校図書室で、数十年前の昆虫のをかろうじて1冊見つけただけ、大喜びで見入りました。こんなのがほしかったなぁ~と思わせるシロモノです。地域の図書館にあるというのがミソですね、是非借りてみてください!

 

 

 

 

新着絵本のお知らせ 9月

お待たせしました!新着絵本のお知らせです。左上から、

1.落語絵本 ばけものつかい
2.落語絵本 ときそば
3.落語絵本 おにのめん
4.落語絵本 たのきゅう
5.ねこのシジミ
6.もったいないばあさんの てんごくとじごくのはなし
7.すすめ!うみのきゅうじょたい
8.わたしのぼうし
9.せんろはつづく まだつづく
10.もりのおくの おちゃかいへ
11.のっていこう
12.だいちゃんのうみ
13.100まんびきのねこ
14.とらっく とらっく とらっく
15.おつきさま こっちむいて
16.カレーライス
17.はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう!
18.黒ねこのおきゃくさま
19.こぐまちゃんのどろあそび
20.I Like Me!
21.Sleepy Time

今月も落語絵本が4冊も入りました!久しぶりにCD付英語絵本も2冊、人気の乗りもの絵本ももちろんあります。特に『とらっく とらっく とらっく』は触れる標識(↑)付きで、これはボランティアの大学生クンが作ってくれました。ありがとう!さらに!みんなの大好きな電車の絵本、先日12冊も注文しましたよ~!頑張って作りますので、楽しみに待っていてください♪