お知らせ
全盲大学生海外初一人旅、コスタリカ環境保護ボランティア紀行
私事で恐縮ですが、今春、全盲の娘が海外初一人旅、コスタリカに環境保護ボランティアに行ってきました。その紀行文が『点字ジャーナル』に連載されています。よろしければどうぞ読んでやってください。
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★20歳の春、忘れられない3週間 in コスタリカ★
(1)旅の始まり
中米コスタリカの首都サンホセの空港を出た私を出迎えたのは、カッと照りつける太陽と、「アジュミ!」とスペイン語なまりで私の名を呼ぶ明るい声だった。声の主は、空港まで私を迎えに来てくれた二人の現地スタッフだ。そのうちの一人、私のガイドを務めてくれることになっている同い年の女の子ロリが、初対面の私のほっぺにキス!その瞬間私の胸は、これから始まる日々への期待でいっぱいになった。今日から3週間、コスタリカ北西部グアナカステ州にあるバラオンダ(Barra Honda)国立公園で、環境保護ボランティアとして活動するのだ。
二十歳の記念に、一人で海外に来たかった。自然が大好きで、世界の動植物の5%が生息すると言われるコスタリカの森や海に憧れていた。この国発祥の「エコツーリズム(自然を観光資源として管理・保存することで、環境保護と経済発展を両立させようとする考え方)」の拠点である国立公園の仕事に興味があるので、できることは何でもやってみたい。スペイン語も上手になりたい。公園までの4時間のドライブの間にそんなことを話すと、二人ともとても喜んでくれた。
ちなみにこのとき二人が教えてくれたのが、プラ・ヴィダ(¡Pura vida!)と言う挨拶。英語にするとピュアライフ、まあ「人生最高!」といったニュアンスだろうか。「これが言えるようになったら本物のティコス(コスタリカ人)だよ」と言う言葉に嘘はなく、滞在中私は本当に何度もこの明るい挨拶を耳にし、そのたびに幸せな気分になった。
到着した夜に、早速コウモリの生態調査があった。公園内には大小無数の洞窟があり、コウモリ達の天国になっている。それらを1匹ずつつかまえて、種類や体調、性別、皮膚の状態などをチェックし、つめに印をつけて放すというものだ。コウモリの専門家をリーダーに、前述の二人のスタッフと私、そしてデンマーク、フランス、ドイツから来ていた3人のボランティア達の総勢7名の調査団となった。
地面近くに開いた洞窟の入り口に罠を仕掛ける。大きな2本の三脚の上に、さらにそれぞれ長い棒をたて、その間に地面近くまで届く丈夫な網を張る。網の下の部分は大きな布の袋の中へと続いていて、外に向けて飛び立ったコウモリが、網にぶつかって袋に落ちる仕組みだ。網の目が粗いので、本当にこれでコウモリ達をつかまえられるのか思わず首をかしげたが、誰もそんなことは気にしていないようだった。あるいは、スタッフ達にとって大事な事は、確実につかまえることというよりむしろ、間違っても彼らを傷つけないことなのかも知れない。
耳を澄ますと、洞窟を出入りするコウモリ達の羽音がかすかに聞こえてきた。小鳥の羽音によく似た、それよりも少しくぐもった重い響き。小鳥の羽音が、紙で空気を打つ音だとすると、コウモリのは布、小さな小さな毛布を打ち振っているような音だとでも言おうか。
そのわけは、捕まえたコウモリ達を触ってわかった。彼らの翼は1枚の皮膚でできているので、小さな羽が集まってできている鳥の翼とは違うやり方で空気をとらえるのだろう。私たちの手の指に当たる骨が、まるで葉脈のような繊細さでその皮膚を支えている。全身を覆うビロードのような毛、体に似合わぬ大きな耳、まるで昆虫のそれのように私の指をしっかりととらえる後ろ足のつめ。後ろ足の間に虫を捕るための膜を持つ種類もいた。なぜこんな姿に進化して、この瞬間私たちと同じ地球上に生きているのか、不思議でたまらない。
そしてスタッフ達の優しさが、私の感動に拍車をかけた。私の矢継ぎ早の質問に丁寧かつ嬉しげに答えてくれたのはもちろん、罠を仕掛けるときには一つ一つ部品を触らせて、どのように組み立てるのか教えてくれた。普通ボランティアは動物に触らないそうだが、コウモリの驚くべき体の部位の一つ一つを触るのを許してくれた。つかまえた個体を1匹ずつ入れた袋を運ぶ役目を与えてくれた。初日にして、私の好奇心と、どうにかして役に立ちたい気持ちをくみ取ってくれたことで、私は大いに元気づき、ここにいる間に目一杯知識を吸収しよう、自分にできることはないか常に積極的に探そう、何より思いっきり楽しもう、と意気込んだ。忘れられない3週間の始まりだ。(次号へ続く)
点訳勉強会をしました@葉山
9月8日、作業会の他にやっている点訳勉強会、今月は2名ずつ2回になりました。Kさんのレポートでお届けします↓
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本日は、夏休み明けはじめての点字勉強会@葉山。参加者は、大下さんとまだまだ初心者の2名(笑)
森戸神社のお祭りと重なり、車が停めれなーい!作業場所を求めて右往左往しましたが、なんとか場所を確保、作業開始!
本日の作業は、全国の盲学校へ送るサンプルの絵本「おおきなかぶ」15冊をリング通しまで完成させ、最終仕上げをして下さるボランティアさんへバトンタッチできる状態にすることが目標でした。
製本作業に必要な機械を扱う時はドキドキ、、出来るかな、大丈夫かな、、。
いくつになっても⁈初めてのものには、ドキドキです(笑)あーっ、1ページ外れてる、、など慌てる場面もありましたが、完成です!やったー!
目標達成、気分爽快!
肝心の、前回から持ち越しの点字はというと、、
あと一行で終わる!というところで、
シートが無かった、、
ま、そんなもんです(笑)
また頑張ります!
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まさかここまで終わるとは思わなかった作業、途中で道具まで取りに帰って完成させました!お二人の頑張りに感謝です。助かりました~~~
新着絵本のお知らせ 8月
1.落語絵本 かえんだいこ
2.落語絵本 そばせい
3.落語絵本 おおおかさばき
4.どんぐりぼうやのぼうけん
5.つるにょうぼう
6.あまつぶ ぽとり すぷらっしゅ
7.ぐりとぐらの おきゃくさま
8.したきりすずめ
9.もぐらとずぼん
10.うまかたやまんば
11.バーバパパの しまづくり
12.かちかちやま
13.おはよう! しゅうしゅうしゃ
14.みんなで! いえをたてる
15.おにぎり
16.しろくまちゃんの ほっとけーき
17.かえるのあまがさ
18.うさこちゃん ひこうきにのる
19.くつ くつ あるけ
20.みっつの ねがいごと
21.しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん
今月は、ガッツリ重量級の本がたくさん入りました!オムロン様からいただいた落語絵本が早速3冊、絶対面白い!製作者もこぞって落語ファンに~~どうぞお楽しみにね。深く読ませる日本の昔話から4冊、人気ののりものおはなし絵本も2冊入りました。岩波のロングセラー「みっつのねがいごと」も地味に面白くこちらもお薦めです。
学校も始まり、さぁ、読書の秋ですね。みんなでたくさん読みましょう~♪
第4木曜定例作業会@逗子 8月
トピックは、なんといっても昨年まで逗子高校のボランティア活動部Z-Selecで一緒に活動した生徒たちが5人も集まってくれ、当時の顧問先生も駆けつけて、にぎやかにタイムスリップしたこと!みんな大学生、ちょっとずつ大人っぽくなって・・こんな嬉しいことはありません!
高校時代もたくさん作ったS子さん、この夏また1冊新しい本を仕上げました!(写真見てください~! →)
大人グループは7人、四角かった200枚のシートがみるみるページサイズに。毎月会える心の近さも相まって、心地よい空間になっています。以下、冬から参加してくださっているKさんの感想です↓
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書店に勤務していた時、ユニリーフさんから絵本の注文を受けたことがきっかけで、作業会に参加することになりました。
今日の作業は透明シートの裁断。大下さんからシートの扱いについて「もっと大切に扱って。傷をつけないようにね」との注文。
後で気が付きました。「そうだ!この本を待っているのは、小さなくぼみや傷を感じ取る魔法の指先を持っている子供たちなんだ!」・・と。大下さんから学ぶことがまだまだ沢山あると感じた今日の作業会でした。
利用者さんからのお便り 夏休み
今回は、絵本の新たな力や役立ち方のお話がいくつかありました。ご紹介します♪
◆関西の3年生Y子ちゃんは2才の妹さんといつもたくさん読んでくれます。
”バムとケロのおかいもの”はいろんな絵がたくさん描かれていたので、久しぶりに拡大読書器の練習もたくさんできました。手持ちのルーペの度数を挙げた方が良いかと考えていたので、よいきっかけになりました。(中略)妹が英語の絵本とCDを気に入っており、姉妹で英文を覚えています。
◆東京の盲学校2年生のT太クン、新しい製本のコメントありがとうございます!毎回ワクワクしてリクエストをくださいます。
新しい製本ですが、普通の本だ!とびっくりしました。リングの部分が上手にめくれずイライラすることもありましたが、これなら問題なくめくれそうです。
◆いつも点字のお手紙は福岡の5年生Tスケくん。
オオカミのともだちはくまさんで、くまさんと獲物を探そうというとこで誘っている感じが伝わってきました。途中でけんかのようになったけど、すぐなおってオオカミが崖にぶら下がって落ちそうになったとき、くまが助けてくれたという部分がいいなと思いました。
◆神奈川の年長さんのRクンには「ラチとらいおん」がヒット!
「ぼくもらいおんをポケットに入れたからつよくなったよ」と初めていく場所やできなかったことをがんばってみる姿がありました。まだまだストーリーの中にスーッと入っていける幼児期ならではのかわいらしさがあるので、楽しいなぁと思いながら接しています。
◆東京の2年生K大クンは、今回の本、とってもよく点字をさわっていました。知っている点字をみつけるとうれしそうでした。
◆千葉の年中さんY実ちゃん、今回は「歯いしゃのチュー先生」がとても気に入ったようで、読んでーと一番に持って来ていました!
◆就学のために転居された神奈川のK樹クン、障害があるっていってもあまりびっくりしない環境だそうでよかったですね!「ノンタンおよぐのだいすき」をママと楽しんでいるお写真つき!ありがとう!
◆最後は盲学校幼稚部の先生からです。
ある男の子が「逗子高って前と同じだ!」と発見しました。”もったいないばあさん”が気に入っていたお子さんでした。そのおかげで覚えていたかどうかはわかりませんが、よく覚えていたなとちょっと驚いてしまいました。
確かに”もったいないばあさん”は、逗子高生の作品で、続けてリクエストをくれましたよね。継続は力なり!嬉しいことです♪
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