8月4日(水)、第2回「皆一緒に多感覚で遊ぼう」’21 、横浜市戸塚区のとつか区民活動センターで開催しました。これは、点字使用と普通文字使用の子供たちが、視覚以外の感覚を使って一緒に「ユニバーサル」に遊ぼうというイベント!
対等に一対一で遊ぶことで、障害による違いを超えてお互い一人の小学生、中学生として友達になってもらおうと、今回は4名に限って募集しました。参加者は、点字使用の小学4年生A夫くんと中学1年生B太くん、普通文字使用の小学3年生C奈さんと中学2年生D介くんです。みんな会うのは初めて。緊張はありましたが、イベント終了後には、部屋に残って「またいつか会おうな」という声も聞こえたほど。良い時間になりました。
イベントは、まずは目を閉じて行う粘土大仏づくりから!一人一人に鎌倉大仏の小さな模型と紙粘土が配られ、大仏を触って確かめながら作っていきます。見た目の出来は問われません。手の感覚だけ、なんてどんな気持ちがするでしょう?
大仏様は色々私たち人間にはない特徴があります。大仏様の頭髪である螺髪(らほつ)、着衣である袈裟(けさ)。螺髪のために小さな玉をたくさん作ったり、袈裟のしわを串で付けたり。そしあぐらも重要です!40分間触っては粘土をねり、そして自分の想像も加えながら・・滑らかでとてもリラックスしたあぐらの大仏様を作ったB太くん。模型の大仏様にはありませんが、仏像の光背(光の輪)を細いひも状で表現したD介くん。螺髪や袈裟まで丁寧に表現したC奈さん。無理~、時間ない~、と言いながら、それぞれ個性豊かな作品が仕上がりました。
今日の活動はずっと2人組なので、手を洗うのも一緒に行ってもらいます。が、中学生ペアは一人が先に行ってしまったり、何かちぐはぐ。そうかぁ、中学生の男子同士で手をつなぐなんて無理ですね。ではどうしたらよかった・・?皆で話す時間はなかったけれど、次には別の行動になることでしょう。
2番目は、日常の音を聞いて場面を考える音当てゲーム。私は聞いても、室内か外かを当てられる程度・・。そんな中で子供たちはどんどん当てていきます。特に得意だったのが点字使用のA夫くん。ものの3秒で、「コンビニ」だけでなく「セブン!」と店名まで指定!次の音でも即座に「相鉄線!」と電車の路線名まで当てて、「すげえー」の声があがります。前回よりも増やして行いましたが、A夫くんは「もっとやりたかった〜」と。B太くんも東京ならばっちり得意分野だそう。
次は、『だいぶつさまのうんどうかい』という絵本を、1ページずつ交代で音読しました。アシスタントの私も実は点字絵本を読んでいる風景を見るのは初めてで、貴重な機会とお母様たちにもお勧めします。音読は小学生チームがリード!A夫くんとC奈さんの雰囲気たっぷりの読み方に、思わず物語に引き込まれます。タイトル通り、大仏様が立ち上がり運動会に参加したら・・という内容で、面白過ぎて手で読む目で読むといった感想が出ない・・それはそれで対等の証ですね。
4番目は、さわって遊ぶゲームの時間。「たっちまっちカード」は、カードの凹凸模様が一緒のものをマッチさせるゲームです。小学生チームと中学生チームの対抗戦で、最初の人が選んだカードと同じものを言葉と感触を頼りに当てていきます。全員正解しましたが、C奈さんから自分でわかっても相手がわかるように説明するのが難しかったという感想がありました。
「ミステリーシェイプス」は、ドイツの玩具屋さんが作ったゲーム。星や車の形のピースと、それらがくり抜かれたピースを感触だけでマッチさせます。これもチーム対抗戦で行いましたが、似た形も紛れ込んでいて、なかなか難しかった模様。4回行い、最後の最後で中学生チームが逆転しました。B太くんはこれが一番楽しかったとのこと。
最後はふりかえりです。どうだったのでしょうか?
◯中学2年生D介くん「目が不自由な人たちが、どうやって物を察知しているのか、本を点字で読むなど、一つ一つのことで目が不自由な人が救えるんだなと思った。楽しかった。」
◯小学3年生C奈さん「最初は目を瞑ってやるのは難しいんじゃないかと思っていたけれど、粘土とかゲームとかやってみると思ったよりもそんなに難しくなくて、いつもより楽しくできた。目が見えない人でも遊べたりするといろんな人と繋がれて良いな。」
一緒に遊ぶ、楽しむということは確かに人と繋がる最高の方法ですね。ここで遊んだ経験が将来沢山の人と繋がってお互いを理解する、そんなきっかけになったらと思います。
お母様たちからも感想をいただきました。
〇B太くんお母様「B太は帰り道も楽しかったなぁーって何度も言ってました。本当にありがとうございます。粘土、楽しそうでした。本人は作るのもゲームも大好きで楽しんでいました(中略)帰宅後、すぐに自宅のテレビの前に今日作った大仏を飾ってました。いつか連れて行ってあげたいなぁって思います。粘土もB太と一緒に作るのも楽しいかもって思いました。」(粘土ぜひ~!!子どもを見る目が変わります!)
〇C奈さんお母様「本日は大変有意義なイベントに参加させていただきありがとうございました。(中略)A男くんとゆっくり話せなかったからお手紙を書きたいなぁとC奈が言っていたのですが、どうしたらよいか私が答えられませんでした、、(点字資料と点字器を貸しますと返信し、)絵本をたくさん読んでると言っていたので、好きな本を聞いてみたいと言っていました。トンチンカンなハガキになるかもしれませんが、娘と一緒にお手紙作りしてみたいです。」
〇D介くんお母様「自分はどうしたらよいか分からず照れたりもしてましたが、有意義な時間を過ごすことが出来ました。お互い中学生、D介曰くB太くんは優しいから僕のお手本とも言ってました。本当にありがとうございました。」
いつか大仏に行きたい、点字でお手紙書いてみたい、子供同士で通じる気持ちもあるのかも・・今日の時間がこれからにつながりそうなのが嬉しいです。今日は初めてで出来なかったことも、次の機会には出来るかもしれない・・ここでは何気なく一緒に過ごしたけれど、どこかでは背中を押されるかもしれない・・子供たちの伸びる力にユニバーサルな社会実現の夢を託しましょう。
このイベントは、今後も子供たちの長期休み期間に継続して開催する予定です。たくさんの子供たちに「ユニバーサル」に遊んでもらいたいと思っています。次の日程は未定ですが、興味のある方はお問い合わせください(SNSのコメントでも大丈夫です)!
お問い合わせ:info@unileaf.org